2024年3月28日

MHC会報 vol.4(4)

                   

                MHC会報 vol.4(4)号 発行によせて


 会報第 4 巻 4 号を発行しました。2023 年度(4 月~ 3 月)における最後の発刊号になります。
 本号の巻頭言「デーセントワーク-奴隷的労働の再来か-」では、かっての奴隷制度があった時代の労働に重ねながら考えてみました。現に、派遣労働やパート・アル バイト労働の実態をみるにつけ、「結婚して・子育てして・家を建てて…」などは、夢のまた夢のようです。現代の労働と絡んだメンタル問題は、その裏に潜んでいる労働実態を正視することが解決へ向けてなによりも大切です。現状の低収入労働の実態は、すこし前に存在していた奴隷的労働を彷彿とさせます。歴史を振り返りながら論じてみました。
  現状の人々のこれまでになかった新たな動きや行動傾向を観察するにつれ、この裏に隠れている“こころ”の変化について論じました。新たな動きや行動傾向の説明を、「価値が多様化・多元化したから」とか、「ボーダーレスの時代になったから」とか、「すべての際が崩れてきたから」などと言った説明手法に留まれば、近未来の行動予測を正確に予言することが出来ません。このような説明手法は、予防策がとりづらい説明原理に堕することになります。これに対する答として、“主人公化”という説明原理を本号で紹介をしました。